2015年(平成27年) 11月・秋44号

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勝浦町に中学校は、勝浦中学校が1校だけです。町が小っさいんで、全校で100人ちょっとです。1年生は31人。部活は剣道。1年生が8人で、もう先輩はおらんのです。3年生が9人いたんですけど、3年生はもう部活はしていませんし、2年生はおらへんけん。試合とかも全部、1年生8人だけで出ます。

昨日も新人戦が、鳴門スポーツセンターでありました。部員8人のお父さんとお母さんが配車当番で送ってくれますけど、けっこう大変そうです。

わたしは今4級です。ほんまは3級やったんですけど、昇級試験の時に1回風邪で休んじゃったけん。他の人は全員3級に受かっとんやけど、わたしだけ4級。風邪引いたのは、不運過ぎると思います。

剣道は面白いです。先輩がおらへんけん、方針は何も無い。よう分からんことは同い年同士で、これこうするんかな、みたいにしよります。一応、段持っとる先生がおるんですけど、今、3年生担任やけん忙しいけん、もう1年だけでやっとるんです。試合やったら男子と女子は別れるけど、練習やったらもうごちゃごちゃで。

剣道の部活は、今年から土曜授業が始まったけん、日曜日以外は毎日。学校に武道場があって、剣道部専用で使いよるけん。他の部活と共有するみたいなのがないけん、いつでも空いとうけん。剣道部のためだけの武道場があるのはすごいと思います。先輩の最後の試合では、県のベストエイトまでいきました。

剣道の他には、ピアノと女神楽。女神楽は、坂本(地区)の女の人9人で結成していて、太鼓と鉦と小鼓とかを演奏しますけど、その時に集まった人数と曲によって変わります。演奏できるのは、地打ち入れて4つか5つ。一番好きな曲は「坂本馬鹿囃子」です。

わたしは、大人に混じって最年少でやってます。わたし以外は全員大人。小太鼓か大太鼓が担当で、夏祭りとか秋祭りに揃いの女神楽のTシャツと、その上に帯で括るのも着て出ます。女神楽の練習をした後とかも、お茶したりご飯食べに行ったり色々。大人の女の人の話も結構面白いです。家であったこととか色々話してくれますけん。

あまり外に出ないです。こっからやったら(家が集落の上にあるから)遊びに行くんで疲れてまうけん。小さい頃には、近くの木に登っとったり、家の周りをぐるぐる男の子と走り回ったりしていました。でも、外はあんまり好きじゃないけん。日曜日も家で絵を描くとか本を読むとかしてます。パソコンで小説書いたり、ネタ帳に結構まとめんですけど、題名と登場人物の名前と性格とかを思い付いた時にパーッと書いておきます。こんなんが好きとか、細かい人物の説明。もう書き終えたんが「怪盗兄と探偵妹」と「小4刑事」。ミステリーとファンタジーが多いけん。だいたい本は好きやから。最近読んだんやったら学校の図書室から借りたイングリット・ロウの「チカラ」と、お父さんから借りた夏目漱石の「こころ」です。「こころ」は、まだ途中なんですけど。

将来は、小説家とか動物園の飼育係になりたいと思っています。お父さんとお母さんに話したら普通に聞いてくれて、お母さんが「小説家とかは、なかなかなられんけん、もう一個目標を持っときなさい」って、言ってくれました。

わたし、ほんまは嘘つくのが得意なんです。ほんまの気持ちが前に出えへん。何か心のコントロールが出来るみたいな。思うとうことは抑えといて、別の感情を出したりもできる。じゃけん(だから)びっくりしとっても、ふーんっていう感じでもおれるし。これってカモフラージュって言うんかな。

いま一番気になっていることは、剣道の試合の初勝利。まだ一度も勝ててないんで。引き分けとかばっかり。いつになるやら……。

 

実は、万尋さんの話を聞き終わって写真を撮らせてもらっている時、仕事から帰ってきたお母さんとお会いして、万尋さんが曾祖父母と祖父母、それにご両親と妹弟の大家族で一緒に暮らしていることを知った。本来なら、そんな暮らしぶりについて万尋さんの感じていることを聞きたかったのだが、インタビュアーとしての私の至らなさだ。ゆったりとして物怖じしない万尋さんの雰囲気は、大家族の愛情に包まれて育ったからなのだと、後で思い至った。

 

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