読者からのお便り

 支那では、3遍(べん)焼く言うとります。薬にするがです、中国で。そうすっと段々苦(にご)うなるわいね。塩が辛(かろ)うなって、苦うなって。ちょうど黒うなった時点で止めるんですよ。そうすることによって甘味があったりするんですよ。
 一年掛かりましたんや、どうにかこうにか。今じゃ、沖縄まで行っとるらしいです。私、焼くだけで、どこへ行っとるやら知りませんよ。
 奥能登で流下式塩田法の塩を作っとる人が、「黒い塩があってが、あんた、焼いてみらんか」て、塩持って来たんや。最初、色々焼いてみたけどね、なかなか上手いこといかんがですが。
 ちょっと、ごめん。窯に薪くべにゃいけん。
 ステンレスの一斗缶にぃ3年物の孟宗竹を詰めてぇ、そいで竹の中に塩を詰めるがです。そうすっと、塩が黒うなるんです。焦げにゃ黒うならんけどね。真っ黒になるんですよ。温度が過ぎたら、又、元の白いままですわ。空気が入ったりぃ、温度が高ければぁ、その塩が、又、還元して白うなるがですが。缶にはステンレスの蓋をしてありますよ。ゴミは絶対入りませんよ。ゴミ入ったら、食品やさかいね。密閉してある蓋の方が火が入らんで、良い具合に上がります。ガタガタの蓋やったら、火がすぐに入って、側(がわ)がちょっと白うなったり、焦げたりするけどね。
 窯の中の温度が、どんだけになっとるやら知らんけど、煙突の付け根のとこで80℃まで焚けば、そんで、焚き口を小さい穴だけにして、ペタッと塞いでしまうがですよ。一昨日(おとつい)の午後、火入れて、昨日(きのう)は3回焚いて、乾燥さして、ちょこちょこ見て。今朝、8時半から通しに焚いとるんですけど。午前中に、おおかた80℃になるかなあと思うとるがですけど。
 80℃になったら、前の焚き口を蓋して、だんだん火を小そうして、消えんだけにして燃やすんですよ。4日間ほど燃やすがですよ。窯には木が立てて入っとるがです。中は、自動に燃えるがですわ。
 ちょっと、又、ごめん。窯に薪くべにゃいけん。
 あんまり、今から、空気孔を小そうしてやっとっても、なかなか燃えんもんやさかいね。酸素をある程度は入れないかん。
 焚き口から1メーターほど入ったとこや、一斗缶が置いてあるのは。直接、炎は当たらんけん。薪は立ててあるもんやさかいね。じわじわっと、燃え下がるんです。上から燃えてくるんですよ。煙突の穴は、窯の底にあるんですよ。穴が下にあるために燃えて下がってぇ、炎は上から回って、下へ下がるがですが。
 ちょっと、ごめんなさい。煙突の温度見てくるがです。あんまり何時までも焚いとってもいかんがですが。ほんのちょっとのことで、温度が上がったり下がったりするんですよ。
 始めは、泥缶の中けぇ入れてみたんですよ。常滑焼きいうもんですけど。これにやっても側が厚いもんやから火の通りが悪いがです。鉄の缶でやってみたら、こんだ、錆臭そうてダメなんや。色々やってみて、ま、どうにかステンレスに行き着いたがです。でも、まあ、20遍ほども焼いたら金属疲労になりますよ。中から剥げてくるのやね。
 今もって、その時によってね。こりゃ納得のいくものというのは、できんもんです。コンピューターやないんやさかいね。ほんの気持ちだけ焚き口を小そうにしたんと大きいにしたんと、温度が違ごうさかいね。だいたい一定にせんことには娑婆に出されんさかいね。
 塩を焼くようになって8年ほどになっとると思うんやけど、自分の思うたようになかなかならんけどね。ま、ま、今じゃ、だいたい、自信になってやっとるがですけど。
 ここは八幡山ていう山がですが。標高は300メーターくらいと思うんですけど。イノシシは、この下を通っとるがですが。それで、携帯電話は今、離されんがなってね。
 これから竹炭塩出すまでに、15日ほどかかりますよ。熱うて入られんがですわ。窯が石積みやさかいに。