読者からのお便り
地域の未来
 大稀くんが通う赤小学校上赤分校の「生活」の時間では、カボチャやナス、キュウリ、トマト、ヒマワリ、ピーナッツ、ゴーヤ、スイカなどの野菜を校庭の小さな畑で育てている。「夏休みの間も伊藤先生が、朝、水やりしに行きよる」と、大稀くんは夏休みも悠々としていた。
 「トマトが好きなの。出来たら学校で食べたり、家に持って帰ってもいいの。ミニトマトが酸っぱくて美味しかった」
 「生活」の時間で最も力を入れているのは、区長さんの田んぼを借りて、分校に通う1年生4人と2年生4人の米作りだ。種まきから始めて、田植えはもちろん、草取り、肥料まきや案山子(かかし)作りをして、稲刈りと脱穀もする。昨年は、餅米を作ったので籾(もみ)をゴザに干して、籾すりと精米もして、1月になったら餅つき、と本格的だ。
「6月の苗を植えるのが一番面白かった。苗を5本ずつ取って、竹に赤いテープが貼ってあるから、赤いところに植えるの。裸足で田んぼに入ったら、ネトネトして気持ちが悪かった。でも、面白かった。転(こ)けて泥んこになったけど、近くの溝で洗ったの」
 夏休みが終わって、2学期始業の日。もうすぐ刈り入れをしなければならない田んぼに、案山子を立てる相談をする。

先生が準備してくれた古着を組み合わせて、どんな案山子にするのか皆で話し合った。伊藤紀美恵先生が子どもたちに問う。「田んぼの稲が、みんな頭を下げてきとるでしょう。どうしてだか分かる」。「血が上る」「死ぬんじゃ」「太っちょるき」「重いき」。子どもたちが口々に発言する。「そう、重くなってるからよね。稲の実がたくさん入っとるんよね。人間も、そんな人になったらいいね。早くしないとスズメさんが全部食べてしまうから、急いで作りましょう」。するとすかさず、2年生の䉤遥斗(やぶ はると)くんが、「先生、柴犬置いとったら、ええんで」。
記事に関するお問合せ